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知らずに損していませんか?フリーランスの「ふるさと納税」限度額の計算方法

税理士の三木です。2008年に始まったふるさと納税。10年以上も前に始まった同制度ですが、フリーランスの方とお話して思う事は、サラリーマンよりも同制度を利用されている方が少ないということです。その背景には、サラリーマンは年間の収入が把握しやすいですが、フリーランスの方は年間の収入が年末ないしは翌年の確定申告が近くなるまで把握できず、その結果ふるさと納税の限度額が分からないためなかなか手を付けられないという現状があるようです。 
今回はそんなふるさと納税について、そもそもどういう制度なのか、フリーランスの場合に限度額はどう計算するのか今後どう変わるのかなどをご紹介します。 

 はじめに 

フリーランスとして活躍する浅野さんが学生時代のサークルでお世話になり、今は税理士として活躍している山崎先輩のところへ「ふるさと納税」について話を聞きにきました。 

浅野 「山崎先輩、こんにちは!今日はふるさと納税について聞きにきました!」 

税理士 「…ん?ふるさと納税?浅野君は前からふるさと納税をしていなかったっけ?」 

浅野 「はい、サラリーマン時代はふるさと納税をしていました。制度については良く分からなかったのですが、色々なふるさと納税のサイトで自分のもらっている給与を入力すれば、ふるさと納税の限度額をシミュレーションすることができたので、その金額の範囲内で活用していました。でもフリーランスとなって限度額がよく分からなくなってしまって今は何もしていないんです。」

税理士 「なるほど。確かにフリーランスになると限度額を把握しにくくなるね。」 

浅野 「そうなんです。なのでふるさと納税について今一度理解を深めたいと思い、今日は色々とお話を伺いにきました。」 

税理士 「そうだね。ふるさと納税のメリット限度額の計算方法と、あと最近ニュースでも取り上げられているけれどふるさと納税が今年どう変わるかの話をしようか。」 

浅野 「はい!お願いします!」 

 ふるさと納税ってなに? 

浅野 「そもそもふるさと納税ですが、『ふるさと納税の限度額を超えない限り2000円の支出で様々な返礼品をもらえる。』という解釈でよかったですか?」 

税理士 「ふるさと納税のメリットを一言で言うのであればその通りだね。」 

浅野 「でも、2000円の負担で高級肉や果物、海産物などがもらえるってどういう仕組みなんですか?」 

税理士 「ふるさと納税は寄付金の一種ということをまず念頭においてほしい。寄付とは世のため人のためになるような支出を言うよね。だから寄付をした人には、確定申告の時に『寄付金控除』という税金を安くしてもらえるご褒美みたいなものがあるんだ。寄付先には色々条件があるけれど代表的なものは国・地方公共団体、学校法人、NPO、政党とかが寄付金控除の適用を受けることができる寄付先だよ。ふるさと納税は自分の応援している地方自治体への寄付となるから、寄付金控除の対象となる。」 

浅野 「ふむふむ。ふるさと納税は寄付金控除の対象となる寄付ということですね。」 

税理士 「その通り。だからふるさと納税で支払ったお金は寄付金控除として所得税や住民税を減らしてくれる効果があるんだ。」 

浅野 「僕はサラリーマン時代に3万円のふるさと納税をしました。」 

税理士 「3万円のふるさと納税をしたのであれば、寄付した金額のうち2,000円は寄付金控除の対象にならないけど、残りの2万8千円分は所得税や住民税が安くなっているはずだよ。」 

浅野 「なるほど。実質負担2,000円で返礼品をもらえるというのはそういう仕組みなんですね。2万8千円分税金が安くなった実感はないですけど…。」 

税理士 「サラリーマンはワンストップ特例という制度を利用すれば、確定申告せずに住民税が自動で安くなっていたから2万8千円分税金が安くなった実感はないかもしれないね。本来自分が住んでいる自治体に払うべきものを自分のふるさとや応援したい自治体に前払いしているような感じだからね。」 

浅野 税金の前払いと聞くとイメージしやすいですね。前払いすることで2,000円の負担があるものの、その価値以上の返礼品がもらえるということですもんね。ふるさと納税っていいですね。でも、気をつけるポイントはありますよね?」 

税理士 フリーランスとなって確定申告が必要となった場合には、残念ながらワンストップ特例は無効になるんだ。ワンストップ特例の申し込み自体はできるけど確定申告で寄付金控除の適用を受けないといけないから注意が必要だよ。つまり、ワンストップ特例の申し込みをしたからといって確定申告にふるさと納税について何も記載しなかったら、ふるさと納税として前払いした分の所得税の減額(又は還付)や住民税の減額は受けられないから注意をしてね。」 

浅野 「他にも注意点はありますか?」 

税理士 「そうだね。一定金額以上ふるさと納税をしても、一定額を超えた部分は寄付金控除を受けることができないから、その一定額(ふるさと納税の限度額)は気にしないといけないポイントだね。」 

 フリーランスのふるさと納税の限度額ってどうやって計算するの? 

浅野 「ふるさと納税の仕組みについては分かりました!当初の質問に戻るのですが、サラリーマン時代は1年間の自分の給与を予測することができたので、ふるさと納税サイトの限度額シミュレーションをすれば限度額が分かったのですが、フリーランスになってからは1年間の儲けが予測しにくくなって限度額の計算ができないのです。どうすればいいですか?」 

税理士 「確かにフリーランスの場合はふるさと納税の限度額が分かり辛いね。でも分かり辛い理由はただ1つ。それは年間の所得を常に把握していないから。例えば、今年2019年にふるさと納税をしようとする。その場合、2019年12月31日までにふるさと納税をしなければならない。だから、2019年のふるさと納税の限度額を正しく知るためには、2019年中に2019年の所得を把握していなければならないんだ。2019年の確定申告期限は2020年3月16日だね。だから大抵の人は2020年になってから所得の計算をする。でも、それだとふるさと納税の限度額を知るのに遅いよね。だから、常に経理して年間の所得を予測できるようにしておくのがいいんだ。」 

浅野 常に所得を把握ですか…。それが大事なことは分かってはいるのですが…。でもつい経理は後回しで…。常に把握するという事はできなさそうです…。」 

税理士 「もし年内に所得を把握することが難しいのであれば、正しいふるさと納税の限度額を把握することができなくても、ざっくりと知ることはできるよ。」 

浅野 「ぜひ教えてください!」 

税理士 「まず1つめの方法は去年提出した確定申告書を参考とすること。その数字をふるさと納税の上限額をシミュレーションできるサイトに入力するんだ。もし去年より利益が100万円増えそうだなと予測ができているのならその数字も考慮して入れてみよう。もしその限度額をシミュレーションするサイトが給与所得者向けの場合は、給与所得控除後の金額のところに、事業所得(収入から経費を控除した後の金額から青色申告特別控除額を引いた金額)を入力すればよいよ。」 

浅野 去年の申告データと元に計算する方法ですね。」 

税理士 「そしてもう1つの方法は毎年6月位に届く『住民税決定通知書』を参考とすること。そこに記載されている『住民税所得割額』の2割程度と一般的には言われているよ。ただ実際は最低でも住民税の2割以上はあるかな。高額所得者ほど限度額も高くなるし、一律住民税の2割というわけではないんだ。」 

浅野 「そうなんですね。なかなか正しい限度額を知るのは大変なんですね。」 

税理士 「そうだね。その年に医療費がいっぱいかかっていたり、住宅ローン控除の適用を受けていたりするともう少し計算は複雑になるから、ふるさと納税で損(寄付金控除額を受けられないただの寄付)をしないためには税理士に相談した方がよいかもしれないね。」 

 フリーランスのふるさと納税ってどうするの? 

浅野 「なんとなくですが分かってきました。では実際にふるさと納税したい時はどうすればよいですか?過去にふるさと納税をしたことはありますが念のため教えてください。」 

税理士 「そうだね、ざっくりとした流れは次の通りかな。 

  1. 自分の控除上限額を調べる。控除限度額は、自分がいくらまでふるさと納税するとメリットがあるか、という額だよ。つまり、限度額を超えてのふるさと納税は所得税も住民税も安くならないただの寄付になるよ。家族構成国民健康保険料・国民年金、小規模企業共済等掛金など考慮できるものは考慮した方がより正確な控除上限額が分かるよ。 
  2. ふるさと納税のサイト(さとふる、ふるさとチョイス、ふるなび、ふるぽ等)から控除上限額を限度として好きな返礼品を選ぶ。 
  3. ふるさと納税のサイトを通じて自治体に寄付をする。クレジットカード払いができるよ。
  4. 自治体から「返礼品」と「寄付金受領書」が届く。寄付金受領書は絶対になくさないように
  5. 確定申告で「寄付金控除」を申告する。電子申告をしない場合は寄付金受領書の原本を確定申告書に添付することを忘れないでね。   

こんな感じかな。さっきも伝えたけれど、確定申告をする場合にはワンストップ特例の適用を受けても無効になるから、ワンストップ特例の適用は申し込まなくても大丈夫だよ。」 

 2019年6月ふるさと納税はどう変わるの? 

浅野 「最近ふるさと納税のニュースを耳にすることが多くなってきたのですが、何か変わるんですか?」 

税理士 「そうだね。過熱するふるさと納税の『返礼品競争』を規制するために地方税法が改正されて今年の6月から新たなルールが設けられることとなったんだ。まず返礼品の調達費は『寄付額の30%以下』であることや『地場産品』に限ることなどが定められたんだ。」 

浅野 「それは残念ですね。」 

税理士 「でも、豪華返礼品を用意する自治体ばかりにお金が集まって、寄付した人たちが住む自治体では住民税の還付をしなければならないから税収が減るよね。それを防ぐためには必要である決まりだと僕は思うよ。」 

 フリーランスがふるさと納税で気を付けるべきこと 

浅野 「ふるさと納税の理解が深まってきた気がします。ふるさと納税をする上で気を付けることはありますか?」 

税理士 「さっきも話をしたけれど、住宅ローン控除を受けている人は計算方法がより複雑になるから、なるべく正しいふるさと納税の上限額を知りたいのであれば税理士に相談した方がいいよ。あと、めちゃくちゃ稼いでふるさと納税で166万円以上支出した場合には、一時所得として返礼品に対して所得税・住民税が掛かってくるから気を付けたほうがいいよ。」 

浅野 「はい、ふるさと納税を166万円以上できるように、まずは頑張ります(笑)」 

いかがでしたでしょうか。節税の基本として「経費を増やす」「控除額を増やす」ということがあります。ふるさと納税の支出は寄付金控除となるので「控除額を増やす」節税方法となります。限度額を正しく把握できない場合には、気持ち少な目にふるさと納税をするなどしましょう。確定申告を何回か経験して税の仕組みがわかっていけば限度額のシミュレーションもしやすくなると思います。 

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